日常の奇妙な物語
カテゴリ: 日常
日常の奇妙な物語

〜世にも不思議な心臓つながり〜
〜私はあなたのハインリッヒ〜

以前から好きなメキシコのコラソン。
 
コラソンとは心臓のこと。
木やブリキで出来たコラソンは、メキシコらしくカラフルで素朴な暖かみがある。
そしてそれはお守りだという。


ガラスのコラソンがあったら綺麗だろうなと、今年の始め頃ステンドグラスでコラソンを作った。

IMG_5691.jpg



忘れられないブックカバー。

カラフルな心臓が描かれた、レザーのブックカバー。

クラフト仲間で友達のWalst Kちゃんが作っていて、そのブックカバーを見た時からずっと心に残っていた。
私がコラソンを作っていたのと同じ頃にそれを作っていたらしい。

bc-hart-1.jpg




ある日ステンドグラスを作りながら、芝生に寝転びながらそのブックカバーで本を読んでいる風景を、ぼんやりと思い浮かべていた。
するとKちゃんからその日の夜に連絡があり、Kちゃんのお店に置かせてもらっていたステンドグラスを購入してくれたということだった。

これは私も手に入れるタイミングなのかも、と
Kちゃんの作ったそのブックカバーを迷わず買うことに決めた。



さて、その新しいブックカバーにふさわしい本は一体何にしようかと考えてみた。

妹と仲良しのYちゃん(仲良しというと薄っぺらく聞こえるが、ここは魂レベル)の愛読書、
“大草原の小さな家”が思い浮かんだ。
彼女はこの本が大好きで、10回は読んだそう。

人並み外れたセンスと感受性の持ち主である彼女のバイブル。(本物のセンスと感受性の豊かさは
比例すると思う)
私もそれを倣って、大草原の小さな家を入れて読もうと古本屋に探しに行った。
店内を一周二周、いくらその本を探しても見付からない。
では代わりを探そうと目についたのが “グリム童話”。


グリム童話は聖書に次いで世界中で広く読まれている本だという。

はじめに訳者の言葉が書かれていた。


年少の頃こういう昔話を聞かなかった人はいないだろう。
昔話はどこの国でも註釈なしに、児童にすら容易に理解できる。
そうして後年になってもその話がよみがえってくる。
話の筋だけでなくその語られ、聞かされたときの情景もともに浮かび上がってくる。
人格はその年少のころに形成され、それが生涯を支配すると言われる。
もしそうだとすると、こうした昔話が人格形成に及ぼす影響力というものははかり知れない。
それがしばしばよみがえり、思い出してこの本を手にする所以の一つであろう、と。


幼い頃に触れたグリムの世界観は、今大人になった私たちに共通したビジョンで、
心の底のあたりが一人一人繋がっているのかもしれない。

作り物のようにきらびやかで魅惑的、でもどこか暗くて重くて残酷。
なぜこれほどまでに多くの人の心を掴むのだろうか、
知っているようで曖昧になってしまっている話たちが気になり、私はその本を選んだ。


そして湯船に浸かる時間は読書をしている、という仲間の話をこれまた倣って本を読んでいると
一話目を読み終えた時にある映像が頭に浮かんだ。


妹の作った陶器。
赤錆びた色の心臓が彫り込まれたキャニスターがある。その映像が出てきた。
 

風呂上がりもずっと気になっていたので、妹に聞いてみた。

「ちょっと、聞きたい事があるんだけど」

『なに?』

「陶器に彫ってある心臓のこと。」

『ああ、あれ?外科の心臓の画像を見たよ。』

「そうじゃなくて。心臓についてる・・」

『たがのこと?』

「ハインリッヒ」

私が言うと妹はげらげら笑い出した。

やっぱり。


その心臓にはプレートが打ち込まれている様子も彫られていたのだ。

それが私の読んだグリム童話と一致していた。



王様の忠実な家来ハインリッヒ。
彼は王様の不幸に心を痛め、自分の心臓が張り裂けてしまわないよう三本の鉄のたがを打った。

王様に再び幸せが訪れた時、安堵して鉄のたがが
ぱあん ぱあん
と、音を立てて弾けたという。

まさに鉄のハインリッヒを表したそのキャニスターは、Yちゃんの手に渡るものだった。


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Kちゃんの心臓のブックカバーのために選んだ本に載っていた心臓の話。

妹がYちゃんの話を聞いて、Yちゃんのために作った
たがが打ち込まれた心臓を彫り込んだ陶器。

Yちゃんの愛読書を探して入った本屋で代わりに買った本。心臓の話。



心臓で繋がっている関係。
そんなことを思った。


日常の中では不思議なんだか不思議じゃないんだかな出来事が満ち溢れ、
いろいろな糸で結ばれていることにたまに気付く。(明晰になっている時、それは入浴中かもしれない)

今年のマイブームである心臓は、一体どんなテーマが隠されているんだろう。

どうやら心臓の輪はもっと大きいようだ。

次々と目の前に現れる心臓モチーフを見逃さず、目と心を留めていきたい。




*この物語を美鈴と一美ちゃんと裕葵ちゃんに捧げます*
編集 / 2014.10.30 / コメント: 2 / トラックバック: 0 / PageTop↑
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